「甘えた根性」と「甘える行為」

だれかが良くしてくれるだろうと漠然と当てにする「甘えた根性」は、これはもうとくに言い立てるまでもなく間違っていると思うが、といってお互いにひとに甘えないことにすると、ギスギスして生きにくいし、つまらない。つまり、「甘えた根性」はいかんが、「甘える行為」はなんらかのかたちで人界には絶対必要だし、大事だと思う。
だがしかしひとに甘えるには、芸が要る。というか、芸というのは、迷惑がられないかたちでひとに上手く甘える技のことではないだろうか。それぞれの人(にん)によって、ダイレクトでわかりやすい甘え方、つまりスイートに甘えるスタイルで奏功するひともいるだろうし、片やひねり技というか、確信犯的に高飛車に出たり、ふてぶてしくしたりするほうが上手くいくひとも、なかにはいるだろう。
いずれにせよ、芸がなくても甘えさせてくれるのは身内だけである。