一噌幸弘トリオと、「いっそのこと」

夕べは能管奏者・一噌幸弘のトリオ(with鬼怒無月、吉見征樹)を聴きに関内STORMY MONDAYへ。
驚きの連続の合間に、哀感や素朴な歌心やお茶目ぶりが各楽器で奏でられ、圧倒されそうになる寸前に楽しさがその空気をちょちょいと払いのける、粋でゴージャスなライブ。
アンコールの「カカリ乱幻」(今年二月に発売されたこのトリオのCDタイトル曲)も含め、「調子ええ言うしかない」「十三・五拍子の舞」など、セカンドステージ以降がとりわけ印象的でした。

「調子ええ言うしかない」は、なかなか作曲が進まずに難儀していた一噌があるとき吉見に、「調子どうですか?」と聞いたら、「調子ええ言うしかないやろ!」という答えが返って来、それをきっかけに書き上がったという一曲。よい曲でした。
一噌、鬼怒というボケ巨頭の対決を、ツッコミ吉見がやや突き放し気味(?)に放置する図もこよなくスリリング(?)だった。(~o~)
あと、一噌さんってノリツッコミをなさるんですねー。意外でびっくりしました。(~o~)

鬼怒無月の参加するアンサンブルはどれもほんとうに興味深いが、それゆえ注意深くライブを厳選して足を運ぶ必要がある。月二回、三回と通うようになってくるととてもまずい。(個人的にはその状態を、“決壊”と呼んでいる。)
そして、「どれもいい、もっと行きたい!」「どれもいい、もっと行きたい!」が昂じた挙げ句、時間的・体力的・ふところ具合的にあっという間に限界に達し、「こんなに行けるわけないじゃん!」からついには、「いっそのこと、もう聴きに行くまいぞ!」という乱暴な結論に陥るからである。
わたしは二年に一回くらいの割でこうして“鬼怒臨界点”に達することがあり、それをもう何度か繰り返している。(ちなみに、臨界点からリカバリーするには三ヵ月もかからない。)