「デキる自分が見たくて働く」

ここ十年くらいだろうか、能力主義というものが広く世に行き渡って以降、ほんとうの意味で仕事の成果を上げるのではなく、「デキる自分を見たい」がために働くタイプが数多く出現しているように思う。ナルシシズム、自己愛の変形ともいえる。

このタイプは、とにかくデキる自分が見たいので、頼りにされたがる。そこで、部下や取引先の質を落としてまでその目的を果たそうとするため、なかなか成果が上がらず、意外と苦労人だったりするが、苦労の色彩を帯びそうな要素をどんどん切り落として見えないところに追いやろうとするのが特徴だ。仕事の実質的な成果には関心がないため、上司が厳格な成果主義だと必ず衝突する。ただ、こういうひとを従える上司は、同様にこの手のナルな能力主義であることも多く、その場合は自己愛の投影のしあいっこでうまくいく。

なかでも演技派はとりわけ質が悪く、仕事でのEメールの使用が普及したこともあいまって、粗相や未熟な面をオフィスで隠しおおせ、ミスを露呈しない。

それでも大きな会社では人事評定に幅と蓄積があるので左遷させられるが、小さな会社の場合は多少、こういうひとが君臨することがある。でもまぁ、持って三年から五年ですかね。

え? 見分ける方法ですか? 腰が低そうに見えてもさりげなく横柄で失礼。そして土壇場では突然、泣き落としにかかり、最後は逃げます。

こういうタイプは、いっしょに働く羽目にならないかぎり、傍で見ていると結構おもしろいだが、じつはわりと近くの重要な場所にひとりいてるがなー、ハハハー。
ハハハやない(笑)!