夜の釘づけテレビ

泥のように眠りこけ、起き出すとM-1の優勝者がちょうど決まったところだった。
その後、マグロ漁師、今年亡くなった日本画家・高山辰雄、映画監督・熊井啓をそれぞれフィーチャーしたテレビ番組をノンストップで深夜まで見呆ける。空のビデオテープが見当たらなくて録画できなかったためだ。だがしかし、録画していたら見ることはなかったかもしれない。

『海と毒薬』の手術の場面で使われた血液は、若手スタッフから募った本物の血液。生体解剖される米兵捕虜には、生きたブタが使われた。血のついた脱脂綿が床のタイルに落ち、水に洗われて血がにじみ出るさまが印象的だった。モノクロ映画なのだが、まるで赤血球の粒が散って溶け出すように見えるのだ。

テレビは、見ようと思ってもいなかった番組をつい偶然見て、結果的に目を見開かされることがほんとうに多い。さほど再会を望んでいたわけではない知り合いとたまたま話し込んで、思わぬ接点に気づかされ、時間が経つのを忘れる――そんな体験と似ている。