オレ、ぼく、私

萩原健一の自伝『ショーケン』(講談社)を読了。ハチャメチャぶりとまっとうさの奇怪なブレンド加減がこよなく魅力的。それを巧みに表現しているのが、「オレ」「ぼく」「私」という三種類の一人称を柔軟に混在させたこと。編集者とライターさんのあいだで、かなり綿密な構成方針が協議されたのではないだろうか。それにしても、ひとかどのご婦人たちからどれだけ愛されまくったことか! そういうエピソードが自慢っぽくならないのも、この人が可愛くてチャーミングだからなのだろう。