「どんなパンが好きですか?」が愚問でなかったわけは……

7月8日。何年ぶりかで渋谷で、しかも平均年齢高めの呑み会。
バタバタしていて、まる二日間、ろくにシャワーも浴びていなかったため(←忙しぶってるに近いです。ほんとは段取り悪いだけなので)、地下鉄で渋谷に近づく途中、どこかで銭湯に寄ろうとするが、代々木八幡駅至近の銭湯がいまだ営業しているか確かめるべく下車する目論みもついに時間切れに。結局、渋谷駅の周辺でせめて髪だけシャンプーしてもらおうと、あるビルの2階の美容院へ呑み会の25分前に飛び込む。
手早く、サクサクとシャンプーし、ブローしてくれる若い好男子の美容師さん。こちらが急いでいると心得つつ、手を動かしながらも楽しく会話をしようと心がけている構えが伝わってくる。話題は最近の渋谷の変化。何も知らない私が、「東急本店の前のヴィロンというパン屋に来ることがたまにある程度。あそこのパンは食べ手がありますよ」と告げると話題は主食談義(?)に。「自分的には、パンは消化が良すぎて、メシ粒を食べないと食事をした気にならない」と主張する美容師クン。じつにまっとうかつ説得力のあるコメントで、いやー、好感持ってしまいましたワ。ちゃんとご飯食べて、ちゃんと仕事をする青年なのだ。頼もしい。
ところがそう述べたあとに、美容師クン、「どんなパンが好きですか?」と来ました。What kind of bread do you like? ――まるで、英語の上手くない外国人同士が会話をするときみたいな、素朴でカワイイ質問だわさ(笑)。言葉の接ぎ穂がうまく見つからなかったんでしょう。
とっさにオモロいこと言うひとももちろん大好きだが、オモロいこと言えなくても、下手するとぎこちない言葉でも、そのひとのキャラに合っていて、気遣いの感じられる会話は好ましいものである。ってか、嫌いなタイプの人間が同じ質問を発していたら、「つまんねーこと、わざわざ訊くんじゃねーよ、おめー。“キレイなおねえさんは好きですか?”とおんなじくらい、くだらねーぜ」と心の中でリアクションしていたにちがいない。
って、本欄、なんだか、わたくしメが若い好男子にヨワいことをただ白状しただけのオバちゃん日記になってしまったようで、失礼しました、ハイ……。