月で嵐で藤に梅

ひそかに敬愛する里吉しげみ氏の芝居を見に銀座へ(劇団未来劇場第88回公演 、『桃色恐怖狂言 猫恋花嵐夢三昧(ぴんくのぶらっくこめでぃ いろぐるい はなにあらしも ドント・ウォーリィ)』@博品館劇場、千秋楽)。里吉氏は水森亜土さんの御夫君である。里吉さんのエッセイを、公演パンフレットだけでなく、もっともっともっともっと読みたい。戯曲も活字で読みたい。
愚作『ダメ蟹』には「美人ちゃん」という言葉が出てくるが、これは水森亜土さんおよび劇団未来劇場に関心を向けなかったら出会わなかった言葉である。「べっぴんさん」じゃなくて「美人ちゃん」。粋でモダンでカジュアルで新鮮な、良い言葉です。

庭の藤が咲きかけている。藤と梅は、満開より四〜六分咲きくらいがいい感じだと思う。満開になると緊張感がなくなって、まるで造花みたいにいつまでも枯れないように見えて退屈だ。
と、いまふと思ったのだが、「風情がある」とは、もしかすると、「やがて枯れ、消えてなくなる緊張感のただよう美しさ」を指すのでありましょうか、どないでしょうか。

『ダメ蟹』を紹介していただいている喜劇映画研究会の宣伝ページが更新され、書評コメント集がアップされました。http://www.kigeki-eikenn.com/