浅草で兄さんに諭される

真面目なひとは、真面目でいさえすれば報われると信じ込んでいる。真面目であることはせいぜい人生のショバ代くらいにしか過ぎず、世渡りをするにはそれなりに心延(ば)えなり芸なりが必要なはずなのだが、真面目なひとはそれだけでやっていけると思っている。そんなんじゃとっくにやっていけないからこっちはこんな不真面目な野良になってしまったのでありますが。(そのことを真面目なひとにわかってもらうのは、海老蔵に女遊びをやめさせるくらいむずかしいと思われます。)

本日は浅草某所でサンバ・カーニバルを鑑賞。呑みながらの与太話が滅法楽しい、敬愛する兄(あに)さん、浅草育ちのN氏に上のようなことを言ったら、「それはたしかにそう。そうなんだが、でも堅気の世界のひとにそれを言っちゃあおしまいなんだよ」と諭されましてん……。

あ、いや、N氏は浅草で生まれ育ってるだけで、寅さんでもテキ屋でもなくてですね、じつは大企業のサラリーマンだったりするんですわ。だがしかし、「呑んでしゃべる」という遊びの楽しさをこのひとほど深く、だがしかしサラッと追求する洒落のわかる殿方をわたしはほかに知らない。
何にせよ、めんどくさいのは嫌いだし、他人にめんどくさい思いをさせるのも嫌、つまり「粋」の真髄をご存知の殿方としてほんとうに好ましいのだ。Nグモッチ、ラブ!