ムホホな『ジンガロ』

27日、騎馬スペクタクル『ジンガロ』を観て美しさとスピードに圧倒される。思わず「ムホホ」と笑いがもれてしまうすごさ! 馬の体も人の体もなんと美しいのだろう。西洋人――とりわけフランス人は、しゃべりながら肩や腕を盛んに動かす人が多いけれど、あれは騎馬文化、馬上コミュニケーションから来てるんじゃなかろうか、などと勝手に想像――というのは、熟練した乗り手同士だと、声が届かない距離にいても、手綱から完全に手を離し、上半身のジェスチャーで意思疎通が可能だからなのです。(それでいくとモンゴル人とかも肩や腕や手の動きが表情豊かなのだろうか、どうだろうか?)

その『ジンガロ』、木場公園の特設会場に一歩、足を踏み入れると、開演前のふつうの劇場よりも暗いうえ、座席のひな壇が、ちょっと恐いかもと思うくらい急なのだ。そして、ネタばれしないよう詳しくは述べませんが、アッと耳目を引く“舞台装置”をあしらった中央の円形舞台には、10頭ほどだろうか、馬たちがおとなしく憩っていて、場内には、当たり前ですけど、ほのかに家畜小屋の匂いが漂っている。(ちょうど井の頭公園の動物園程度のほのかな匂い)。暗がりの中で、ふだんは経験しないそうした違和感や緊張感でなおさら期待が高まる。そうしてしばらくすると、哀しげで妖しくて移り気なジプシー音楽の生演奏が流れはじめ、開演。そのあとは演者も馬もアドレナリン全開。最後まで期待は裏切られなかった。音楽もすばらしかった。

そのほか、14日は末広亭ニノ席へ。トリは小三治『千早振る』。マクラもネタもたっぷり。20日いのうえひでのり演出『リチャード三世』へ。古田新太がなぜかとっても二枚目に見えた。美術と衣装が驚きの連続でワンダフルでした。殺陣もカッコよかった!
ライブは、8日は高円寺Showboatでデミセミクエーバー、10日は江古田Buddyで「ピカイア祭り」。もろもろ、堪能いたしました。