顔の中から顔が出てきた

もしわたしが幼稚園児だったら、日がな一日、ロッテFit'sのCMの「噛むとフニャンフニャン」(振り付けはパパイヤ鈴木)を踊りたおし、親兄弟に見せたり、幼稚園の友だちや先生に「いっしょに踊ってーな」とをせがみまくっているだろう。バカバカしくて、ちょいと不謹慎で、いい感じに力の抜けた楽しいダンスだと思ってると、1ヵ所だけシャープな体のキレが要求されるところがあり、何度見てもそこのギャップに強く魅了される。

鶴見俊輔 戦後日本――人民の記憶』(12日夜、NHK教育)。たまたまチャンネルを合わせたら、ちょうど、「目の前にいる相手が自分を激しく憎んでいても、そのことをまるで感じ取れない人間というものは、いるんだよ!」と鶴見が語っている場面で、その後は釘づけ。
強い疑問や怒りとともに何かを主張するとき、鶴見さんは顔がふくれ上がって、温和でチャーミングな顔容の奥から、それとはまったく別の、迫力ある面構えがモリモリ、メリメリと出現する。