いーのいーの、あなたはこれから

J-Waveライブ2000+9」(国立代々木競技場第一体育館)へ。

吉井和哉がカッコよさのベストを更新していて目を見張らされた。このひとがこんなにカッコよかったことがあっただろうか。線が太くなった。声もたくましい。凄みすら感じさせるのだが、軽みと愛嬌のスパイスはこれまでと変わらず、それがこれまたカッコいい。シンガーとしてあそこまで鍛練すると――音域が確実に広くなってた――、むかしの歌を唄い直すのもきっとすっごく楽しいだろう!
贔屓の引き倒しと思われたって全然構わないので報告すると、本日2日目、国立代々木競技場第一体育館の総立ち率は、吉井が一等賞だった。

本人もMC冒頭でサラッとふれたように、世間に広く知られた「ヒット曲がない」のに、今日あれほど聴衆を引きつけたアーチストはいない。
1階南スタンドの最奥で聞いていたわたしは、一曲終わるごとに耳をそばだてる聴衆の数が増え、熱を帯びた客席の意識のエネルギーがステージにドッと注がれ、高まっていく様子を目の当たりにして興奮した。吉井はアウェーをホームにした。
たんなる想像だけど、今日、彼は、20代、30代の野郎ファンをゴソッと増やしたんじゃなかろうか。ああいう軽さと男気を備えた、しかも人生経験豊富そう、つまりオンナとの修羅場をさんざんくぐってきてそうなアーチストって、あんまりいないんじゃないか?(若い男子向けに恋愛指南の本とか書かせたら面白いんちゃうか。)

声も体も、おそらく精神的にもここまで鍛えられていない段階で下手に大ヒットなんか出ちゃっってたら、そのあとが大変だよ、吉井さん。あたしはそう思う。
いーのいーの、お楽しみはこれからだよ。
あなたはこれからまちがいなくヒット曲を出すだろう。
だってバンド全体が一丸となって鳴らすあの音。あの音を聞いたら、そうとしか思えない。