火のついたお尻なだめて町へ出る

hisbeloved2007-10-20

劇場から出てきたばかりのひとたちの脳ミソに、端から電極を突っ込むという調査を世界中で断行するとしよう。脳を刺激する範囲の広さでトップを争うのは、シェークスピア里吉しげみ氏の芝居ではないだろうか。(先週金曜19日夜、劇団未来劇場第89回公演『金魚の口にコルクの栓』の再演を新宿・シアターモリエールで観る。)
サスペンス仕立てのストーリーは、ともすれば物語の因果を把握すれば何ほどか満足感を得られるかもしれないが、里吉戯曲の魅力はセリフのディテールにある。世の中の広さを眺め渡すことも含め、観る側のニンゲン稼業の経験値や感情生活の豊かさをすべて試されるような、基本的には恋愛がテーマの群像劇だ。膨大なセリフへの不断の注意力を促されるのだが、その緊張を解きほぐすかのように、ときおりエラくナンセンスな歌と踊りが挿入される(作曲は一貫して小林亜星)。で、脳ミソがいったん、これでもか!というくらい、ゆるむんですけど、だいたいそのあとにオトロシイ事件が起きるんですなぁ。ふふふ。今回は水森亜土さんは出演していませんでしたが、水森さんが初演でどの役を演じたかは、ほんっとにすぐわかる。
それにしても初出演の織田龍光という役者が気になって気になって気になって仕方がなかった。一挙手一投足を見守って、笑い転げさせてもらった。

言うまでもありませんが、写真は上記と何の関係もありません。(昨年格闘したミル貝。)