劇場の花と地下鉄の花

本年聞き初めは『立川談春独演会』(銀座ブロッサム)。
この会場の緞帳は花模様が美しい。世界中でいちばん好きな緞帳だ。中央区内の5つのデパートが寄贈したもののよう。

帰途、地下鉄の中で香椎由宇みたいに可愛くて賢そうな女子高生が一心不乱に生物の参考書を読んでいた。「精子の形成」という見開きを食い入るように見つめている。ふと気づくと、そうやって、私と同じようにその子及びその見開きにちらちらと目をやる、やはり高校生と思しき若造がその子の周囲になんと3人。男子たちは全員、まずその子を見、ついで参考書を見、窓に映る自分を見るという永久運動をそれぞれのペースで繰り返していた。時間的に、おそらくみんな予備校帰りで、受験直前の追い込みかしらねー。

午前中は、玄侑宗久さんがフィーチャーされているテレビ番組を見た。若いころ、キャバレーだかのフロア・マネージャーをやっていたことがあるらしい。おこがましいし、失礼千万なのだが、なぜか勝手に親近感をいだく。(これは内緒ですが、わたくしが経験した純然たる水商売は、せいぜいスナックのカウンター程度です。)