歌詞のようなもの(その1)

「ふたりで行った場所」

ふたりで行った場所へ ひとりで行った
緑をくぐりぬけると あの塔があった
きみが知らなかった あの塔
塔の下の水辺には 枯れかけたダリアの花一輪
そんなものを見つけたと 心の中できみに知らせる
「このダリアきれい、浅丘ルリ子みたい」ときみは言う
ぼくの心の中でそう応えてくれる きみの声が

ふたりで行った場所を ひとりで歩いた
きみがつかまっていない腕を ぼくは振る
でもぼくの目は 思い出のきみの
横顔につかまってる 笑いながら上を向いて
しなる首の白さにつかまってる
あのとき、あたりは夕闇 アジサイの濃い青がにじんでた
ちょうどいまみたいだった ラララあの瞬間

ぼくはまたここへ来るだろう
たぶん何度も来るだろう
そしてあの日、ぼくらが目にしなかったものを
一つ残らず見つけ 端からきみに報告しよう
もう会えないきみに
二度と会えないきみに いちいちくわしく