ホームレスの娼婦

8月の末、日比谷線社内でホームレスの娼婦と思しき女性に遭遇した。歳は35くらいか? 
かたちんばのハイヒールは、右が黒のワニ革。左が白のサンダル。肩口から紅いブラジャーのストラップがのぞき、ボトムは、結構な涼しさにもかかわらずストッキングやレギンスなしでライトブルーのホットパンツ。その上からかなり大きめの黒い綿のハーフコートを羽織っている。
恐ろしく量の多い長い髪。小太り。化粧は太めのアイラインだけ。暇さえあれば手鏡を覗き込み、髪をいじっていた。荷物はバッグ2つ。大きめのソフトレザーっぽいトートバッグと、ニッポン旅行を終えて成田へ向かうアジア人観光客が必ず携えているような、家電製品を運ぶような素材不明の袋。
夜7時半ごろ、茅場町の駅で乗り込んだときに向かいの席(車両の端の短い座席)にいて、中目黒で向こうも東横線に乗り換え、その後も混雑にめげず、再び車両の端の座席を探していた。来ないかもしれない親を待つ迷子のような所在なさげな、それでいて怒っているような表情が気になって、ずっと横目で観察してしまった。
なぜ娼婦だと思ったかというと、まったく臭くなかったから。
おそらく、車両の端の短い座席は営業的に有利なのだろう。目の前に立った男と合図しあって、商談が成立すればいっしょに下車するというシステム? あのまま横浜まで行ったのだろうか、横浜まで行かずに客が取れただろうか。

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